今年6月にはG20サミット首脳会議開催を控え、2025年の大阪万博も決まった今、大阪がいつにも増してアツい。
万博誘致のPR動画では、インパクト大のヒョウ柄を着たおばちゃん軍団が「なにわLOVE」を強調し、道頓堀では地元のオジサンが「景気エエ話や。万博待ってるで~」と歓迎する。
しかし! この様子を「いかにも大阪人だ」と思ってはいけない。国際日本文化研究センター教授の井上章一さんの著書で、最近、話題をよんでいる『大阪的』(幻冬舎新書)によれば、これまで“大阪的”とされた大阪像の多くは、つくられたイメージだというのだ。
県民性博士の矢野新一さんもこう指摘する。
「多くの人が思う“大阪的”なイメージは大阪と関係ないものもたくさんあります。高度経済成長期頃から徐々に、地方から大阪への移住者が増え、最近では昔ながらの文化や風習が変わりつつある」
◆“おもろない人”もメチャクチャおる
本誌・女性セブンが大阪人以外に行った全国555人へのアンケートで「大阪のイメージ」をたずねると(複数回答・表参照)、「おしゃべりが好き」(298人)、「ノリがいい」(293人)、「値切るのは当たり前」(280人)、「明るい・にぎやか」(260人)など、おなじみの振る舞いが上位に入った。
『まぬけなこよみ』(平凡社)などの著書がある芥川賞作家で、大阪出身・大阪在住の津村記久子さんは「それらはあくまでイメージ」と言う。
「大阪人は常に笑いに貪欲というわけではなく、ノリが悪くて“おもろない人”もメチャクチャいます。あまり笑いを期待しないでほしい(苦笑)」
大阪市在住の38才女性も苦い顔だ。
「会話にオチがないと東京人から『大阪の人なのに!』と突っ込まれるのがプレッシャーです。大阪人がみんな『すべらない話』をするわけではないのに…」
『大阪的』では、作家の谷崎潤一郎が1932年に書いたこんな随筆を紹介している。
《関西の婦人は凡べて…言葉数少なく、婉曲に心持ちを表現する。それが東京に比べて品よくも聞こえ、非常に色気がある》
現在の大阪人とは対極にあるイメージではないか。大阪の女性がヒョウ柄ばかり着るというのにも、現地取材では異論が多かった。
「一部のヒョウ柄大好きなおばちゃん軍団とヤンキーがフィーチャーされているだけで、私の周りは誰も持ってへんよ」(大阪市・46才女性)
ヒョウ柄どころか顔や姿が大きくプリントされた服について、津村さんはこんな「新説」を披露する。
「おばちゃんは老眼が進んで目が悪くなるから、知らず知らずのうちに柄がデカくなるのではないでしょうか」
え、それなら全国のおばちゃんみんなに当てはまるのでは…。
※女性セブン2019年1月31日号