これまで連ドラにあまり選ばれなかったある題材がテーマとなり、注目を集めている。それは「ゾンビ」だ。しかも、2作が同時期に放送されるのだ。なぜゾンビのモチーフが選ばれたのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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今冬の新作ドラマが次々に放送されていく中、とびきりの異色作は、19日スタートの『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK、以下『ゾンビが来た』に略)と、23日スタートの『ザンビ』(日本テレビ系)。
2作の共通点は、ゾンビをモチーフにしていること。映画や海外ドラマにはゾンビをモチーフにした作品は多いものの、連ドラではあまり見られません。
しかも放送局は、堅いイメージのあるNHKと、視聴率トップの日テレ。両作ともオリジナルであることも含めて、挑戦的な作品であることは間違いありません。
◆『カメ止め』が大ヒットしたのは昨夏
なぜこの時期に2作のゾンビドラマが放送されるのか? ゾンビと聞いて、昨年社会現象となり、『日本アカデミー賞』の8部門で優秀賞に輝いた映画『カメラを止めるな!』(以下『カメ止め』に略)を思い浮かべる人は少なくないでしょう。
『カメ止め』はゾンビというキャラクターを生かしたコメディーであり、後半は観客を大いに笑わせました。一方、『ゾンビが来た』も、「現代日本の諸問題をあぶり出す社会派ブラックコメディー」というコンセプトで、笑えるシーンを盛り込んでいるようです。
あれほどヒットしたわけですから、『ゾンビが来た』『ザンビ』ともに、『カメ止め』を無視してドラマを作ることはあり得ないでしょう。トレンドを踏まえ、人々のニーズに応えるためにも、少なからず脚本・演出などで『カメ止め』の影響を受けた作品になることが予想されます。
しかし、両作が『カメ止め』のヒットを受けて制作されたかと言えば、そうとは言えません。『カメ止め』の公開日は昨年6月23日であり、クチコミで人気に火がついたのは7~8月ごろ。今冬スタートの両作はゼロから作るオリジナル作品だけに、企画、キャスティング、ストーリー、美術などがスケジュール的に間に合わないでしょう。
だからこそ、『ゾンビが来た』と『ザンビ』からは別の狙いが感じられるのです。
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