「Visual EFとは、“超音波画像で見たところこれくらいだろう”と視認した参考値にすぎません。そもそもEF17%という数値は心機能が著しく低下した状態。手術を行なったこと自体が間違いだったのではないか」(B医師)

 A氏が適応外の患者だったことを示す記載は他にもある。PMDAは「強心薬(カテコラミン)依存者」についても、マイトラクリップ手術には不適応とする。

 カルテには、A氏がカテコラミン依存状態であったことが記載されており、手術前にも、持続的に静脈内にカテコラミンを投与する状態だった。

「本来、補助人工心臓の埋め込みか、心臓移植が最適の処置だったはず」(B医師)

 医療問題に詳しい中川素充弁護士が語る。

「死亡診断書に虚偽の記載をしたのであれば虚偽診断書等作成罪にあたる可能性があります。仮に執刀医ではない人間が記載したために、事実を知らずに誤記していたケースであったとしても、同じ院内で報告が行き届いていない状況は問題です。真相解明の機会を奪っていることになる。

 PMDAで定められた基準に反して適応外の患者に治療を施し、死亡させた場合は、業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります」

◆症例集めに〈苦戦しております〉

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