手術のリスクについて、本人や家族への説明は尽くされたといえるのだろうか。本誌は一連の出来事についてK医師に取材を申し込んだが、締め切りまでに回答はなかった。

 東大病院の広報部は書面でこう回答した。

〈当該患者に対する治療が極めてハイリスクであることもかんがみて、治療の是非については、循環器内科内での症例検討会や、循環器内科、心臓外科、麻酔科でのハートチームカンファレンスのみならず、新規診療等検討委員会、臨床倫理委員会でも検討を行い、そのいずれからも治療の許可、賛同を得たうえで、当該患者本人とそのご家族にご説明を行い、そのご意向も踏まえて、最終的に当院でMitraClip治療を行うことを決定しております。
(中略)
 当該患者の死因について、治療にあたった循環器内科としては、原病である突発性拡張型心筋症による慢性心不全の増悪が主であると考えており、原病に対する手術は行っておりませんので、その旨を死亡診断書に記載しております〉

 告発状とは真っ向から主張がぶつかるなか、B医師が胸中を明かす。

「今回の事故について、“検証し、責任の処在を明確にしなければ、患者が次々と危険な目に遭い、病院やマイトラクリップ手術に対する信用も損なわれる。それだけは食い止めなければ”との危機感を持つ現役医師は私だけではありません」

 一刻も早い事実解明が求められる。

●文/伊藤隼也(医療ジャーナリスト)と週刊ポスト取材班

※週刊ポスト2019年2月1日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン