厚労省の「死亡診断書記入マニュアル」は、「直接死因」や「直接死因の原因」に関係のある手術を実施した場合、術式及び診断名と、関連のある所見(病変の部位、性状、広がり等)の記入を求めている。が、A氏の死亡診断書にはマイトラクリップ手術の実施や、その後気胸が発生した事実が一切記載されていない。

 南淵医師が指摘する。

「もし心臓手術を施した患者が、1か月後に手術が直接の原因とは思えない脳出血で突然亡くなられたとしても、死亡診断書には、手術の詳細を記すことが求められます。A氏の件は手術後に肺に穴が空き、それが死に繋がった可能性が浮上しています。死亡診断書に心臓手術が行なわれたことを記載しないのは、医学界のルールを逸脱しているといえます」

 A氏の死について、東大病院が第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告し、実態解明に乗り出したのは、死後2か月経ってからのことだった。

 問題はそれだけでない。そもそもA氏は、マイトラクリップ手術を受けられない患者だったという疑いも浮上したのだ。

 医療機器の承認審査などを行なう医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、マイトラクリップ手術について、心臓の収縮力を示す左室駆出率(EF)が30%以上の患者にしか適用してはならないと定める。それ以下の数値では、手術の負担に心臓が耐えられないリスクがあるからだ。

 事前の検査結果でA氏のEFが17%だったことがカルテに記載されている。だが、カルテには〈転院前の前医で施行したTTE(注・経胸壁心臓超音波検査)ではVisual EF30%であり、保険適応上は問題ない〉と併記されていた。

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