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篠原信一 シドニー五輪「疑惑の判定」と「敗者の美学」

この試合がビデオ判定導入の契機に(共同通信社)

 柔道の平成の名勝負に数えられる戦いのなかでも最も不可解な一戦が平成12年(2000年)9月22日に行なわれた決勝戦である。

 シドニー五輪の柔道男子100キロ超級の決勝戦、「金メダルに一番近い男」といわれた篠原信一はフランスのドゥイエと対戦。中盤、ドゥイエの内股をかわして逆に投げた「内股すかし」で勝負あったかに見えた。

 思わずガッツポーズをとる篠原。副審の一人が「一本」を上げたが、もう一人の副審と主審は「有効」のジャッジ。しかも「有効」はドゥイエに付くという不可解なものになった。

 会場からもブーイングが起きたが、残り時間で篠原はポイントを奪うことができないまま試合終了。主審はドゥイエの手を挙げ、篠原は天を仰ぎ、茫然と立ち尽くすしかなかった。

 表彰式でも涙を流しながらずっとうつむいていた篠原。記者会見でも無言が続き、「ミスジャッジと思うか」と聞かれ、「(何も)ありません」とうつむいたまま、大きなため息をついた。(敬称略)

※週刊ポスト2019年2月1日号

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