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50代からの起業でよくある失敗は「ドゥ・モア・ベター」

 いきなり会社をゼロから立ち上げようとするのも、やめたほうがよい。可能性があるとしたら、自分自身がIT技術に精通している場合のみで、スマホやフリーミアム(基本的な機能は無料で使え、さらに高度な機能などを利用する際に課金される製品やサービス)のツールを駆使して、社長1人で何でもできるならかまわない。だが「そういうIT関係は若い人に任せて……」と思っているようならダメだ。仮にITに精通した若手がいたとしても、そんな人材がその人の会社に来てくれる可能性はゼロに等しい。

 ホームページさえ立ち上げれば客が集まってくると思っているかもしれないが、何千何万というWebサイトの中から、サイバー空間の住人があなたのホームページを選んでくれるようにするためには、それ相応のIT知識が必要となる。これは「SEO(Search Engine Optimization)」という技術で、グーグルやヤフーの検索結果で自社サイトがより多く表示されるために検索エンジンを最適化するWebマーケティングの一つだ。しかし、SEOをパーフェクトに使いこなせる人間はほんの一握りで、まず無理だと思ったほうがよい。SEOの専門会社も数多くあるが、eコマースの専門家もピンキリで、高い報酬を払ったにもかかわらず効果がない、ということはザラなのだ。

 最も可能性が高いのは、従来から付き合いのある会社や人と手を組み、資本金を出し合ってやる方法だ。自分自身はフルタイムの社長として責任を持ち、パートナーに人と金を出してもらうのだ。その代わり、人一倍、汗をかかねばならない。

◆「より良いもの」で勝負するな

 では、何をやるか? 何をやるにせよ、「ドゥ・モア・ベター」(より良い物を作る・売る)の発想だけは、絶対にしてはならない。

 日本の企業は長らく、この考えに取り憑かれている。従来の延長線上で競合他社より「もっと多く、もっと良く」と考え、そこに目標を設定してしまうのだ。

 日本の家電メーカーが、こぞって業績不振に陥った理由がそこにある。冷蔵庫の容量をもっと大きく、消費電力をもっと小さく……と競ったところで、それは程度の問題でしかない。たしかに高度成長期は「ベター」になった者が勝ってきたという歴史があるが、その競争は必ず壁に突き当たる。

 現に、1993年創業という比較的若いイギリスの電気機器メーカー「ダイソン」が、全く新しい発想のサイクロン掃除機やドライヤーを市場に投入したら、日本のメーカーは歯が立たなくなってしまった。

 たとえば、2009年秋に発売された扇風機「エアマルチプライアー(AirMultiplier)」。羽根を持たない扇風機のスタイルに、誰もが度肝を抜かれた。「ドゥ・モア・ベター」の発想ではないところでダイソンは勝負しているのだ。創業者のジェームズ・ダイソン氏は「人と違うことをしたい」と常々口にしているが、これこそアンチ「ドゥ・モア・ベター」の発想だ。ダイソンは20億ポンド(約2900億円)を投資し、400人以上の専門チームを結成してEV(電気自動車)の開発に参入したが、これも今までの原理とは全く違うところで勝負してくるのではないか。

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