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50代からの起業でよくある失敗は「ドゥ・モア・ベター」

 ダイソンのこれまでの成功が物語っているのは、「起業成功のカギはアイデアである」ということだ。

「ドゥ・モア・ベター」の考え方の弊害は、価格設定にも現れる。「他社よりも価格を安く」というのは、日本企業の悪しき考え方だ。ここでも、「ドゥ・モア・ベター」で発想してしまっている。

 せっかく起業した人が「ドゥ・モア・ベター」の発想から抜け出せない場合、どうなるか。同じような商品を他社より安くするためには、経費を節減するか、自分の給料を削るしかない。経費を節減するといっても大工場を展開する大手に敵うわけがなく、結局、自分の懐を痛めるしかない。これでは損失を抱えるだけで、何のための起業か、ということにもなりかねない。それならば何もせずに虎の子の貯金を抱えて静かにしていたほうがマシ、ということになってしまう。だが、貯金を抱え込んだところで今の超低金利では目減りしていくだけだから、増えるのは将来に対する不安ばかりだ。

※大前研一・著『50代からの「稼ぐ力」』(小学館刊)より一部抜粋

【プロフィール】おおまえ・けんいち/1943年福岡県生まれ。1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年退社。以後、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍。現在、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役会長、BBT大学学長などを務め、日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

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