ビジネス

不動産バブル崩壊の予感 「その後」に何が起きるのか

世界経済の減速が日本の不動産市場に悪影響を及ぼす可能性も

 長らく首都圏を中心に不動産価格が高騰を続け、“局地バブル”の様相を呈してきたが、ここにきて新築マンションの契約率が50%割れを記録するなど不穏な状況となっている。では、現実に不動産局地バブルが崩壊したら何が起こるのか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が予測する。

 * * *
 現在のような不動産価格の高騰が始まったのは、2013年のアベノミクス開始以降のことだ。特に2014年の10月末に異次元金融緩和の第2弾、いわゆる「黒田バズーカ2」が発表されてからは、バブルと呼ぶべき現象が起こった。

 しかし、これは主に東京の都心とその周縁、城南エリアと川崎市や京都市の一部での地域限定での現象。だから私は「局地バブル」と呼んできた。

 今、バブル地域はグラデーション的に広がりつつある。大阪市内や東京の近郊でも新築マンションの販売価格が2割程度上昇している。しかし、販売は絶不調と言っていい状況だ。建物が竣工しても販売が続く「完成在庫」になる物件の割合が急上昇しているのである。

 では、この局地バブルはいつ終わるのだろうか? 現象を引き起こした異次元金融緩和が続く限り、バブルは終わらないと考えることもできる。日本銀行の黒田東彦総裁はことあるごとに「物価上昇率2%の目標達成まで今の政策を続ける」と言明している。

 じつは昨年の秋、一時的に円安が進行したときに物価上昇の気配が感じられた。しかし、米中貿易戦争への観測で円高への逆流現象に転じた。その後、物価もすっかり落ち着いた感じになっている。

 しかし、そもそも「2%の物価上昇」というのは、2014年時点で日本が陥りそうになっていた経済減速を回避するという大きな目標を見定めるためのひとつの指標に過ぎなかったはずだ。すでに日本の景気は戦後最長の拡大を続けている。不況感はほとんどない。多くの企業は5月頃に空前の好決算を発表するだろう。なのに、まだ「2%の物価上昇」にこだわる必要があるのか。手段が目的化している──と言わざるを得ない。

 かつて2005年から2008年頃の不動産市場は「ファンドバブル」と呼ばれた。最初は海外、その後は国内勢も交えて日本国内の不動産が買い漁られた。そのファンドバブルはリーマンショックによって一気に崩壊した。結果、マンションデベロッパーがバタバタと倒産した。

 今回も、この局地バブル崩壊は海外での大きな事件がキッカケになる可能性がある。事実、心配の種はいくつもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑(時事通信フォト)
【激震スクープ】太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑 大阪府下の元市議会議長が証言「“500万円を渡す”と言われ、後に20万円受け取った」
週刊ポスト
2024年5月韓国人ブローカー2人による組織的な売春斡旋の実態が明らかに
韓国ブローカーが日本女性を売買春サイト『列島の少女たち』で大規模斡旋「“清純”“従順”で人気が高い」「半年で80人以上、有名セクシー女優も」《韓国紙が哀れみ》
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン