近年の無菌室は以前より開放的になっている

「無菌室での60日間は本当につらかった。当時の無菌室は完全に隔離されていて、両親との会話は窓越しのインターフォンで、担当医が聴診器を当てるのも透明なベール越しでした。気晴らしは窓から見える空の風景や流し見しているテレビくらいでした」

 が、現在ではこうした環境は大きく改善されているという。前出の張医師が言う。

「除菌した上でマスクに手袋をしてもらえばお見舞いもできます。患者はスマホでSNSもできますし、コンピュータゲームも楽しめます。私の病院の無菌室には、足腰を鍛えるための自転車もリハビリ用に置いてあり、お風呂も毎日入れます。それでも個室からは一切出られないので、売店に行ったり、散歩したりもできません。個室に隔離されるという状況はやはりつらいものがあります」

 前出の羽賀さんは、池江選手にこう言葉を送った。

「池江さんは病気が分かったばかりで混乱していて、励ましの言葉もなかなか耳に入ってこず、心に受けとめられるような隙間もない時があるかもしれません。今は自分を中心に考えて、ゆっくり体を休めて根治してほしいです」

 日本中がそう願っている。

※週刊ポスト2019年3月1日号

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