特別列車の車内の様子(AFP=時事)
◆ダミー列車も走る
安全対策にも隙はない。
「金正日を狙ったとみられる2004年の列車爆発事故を教訓に、車両は窓から床下まで完全な防弾・防爆仕様になっています」(デイリーNKジャパン編集長・高英起氏)
防弾二重窓はすべてスモークガラス。82mmの迫撃砲が備えられた警護車両には、SPのほかスナイパーや軍の特殊部隊員も同乗。偵察衛星から逃れるため赤外線を吸収する特殊コーティングが施された特別列車は、まるで“要塞”だという。
「米大統領の専用車と同様、列車には金正恩の輸血用血液を積んでおり、緊急手術に対応できる医療設備も整っている。列車が通過するルート上では、30分から1時間前にダミー列車を走らせて安全を確認することもあります」(韓国紙記者)
食事も贅を極めているとされる。
かつて金正日の訪露に同行したロシアの元高官、コンスタンチン・プリコフスキー氏は、「車内では新鮮なロブスターや高級ワインが提供され、フランス料理や中華料理、日本料理などなんでも注文できた」と自著で回想。息子・正恩の代になっても同様の仕様と考えられる。
トランプ大統領との会談自体は「合意文書の調印に至らず」という結論に終わったものの、“豪華列車”での鉄路の旅は十分に楽しめたのかも?
※週刊ポスト2019年3月15日号