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天皇陛下が在位30年記念式典で語った「民度のお陰」の真意

いよいよ平成も残りわずか(時事通信フォト)

「在位30年記念式典」で、国民に語りかけた天皇陛下の姿は、いよいよ平成という時代の終わりが迫ってきたことを実感させた。天皇陛下は国民へ何を伝えようとしているのか。皇太子時代からの数々の発言をまとめた単行本『天皇メッセージ』から、そこに込められた思いを著者・矢部宏治氏と一緒に考えたい。

 * * *
「I shall be Emperor」(私は必ず天皇になります)

 これは明仁天皇(「昭和天皇」や「天皇という概念」と区別するため、私はこう呼んでいます)が15歳の春(1949年4月)、学習院高等科の最初の英語の授業で、「将来、何になりたいかを書きなさい」という課題に対して書いた回答です。その真意を明仁天皇はそれから40年近く経った1987年9月、アメリカの報道機関にこう説明しました。

「普通の日本人だった経験がないので、何になりたいと考えたことは一度もありません。皇室以外の道を選べると思ったことはありません」

 この言葉の背景には、冒頭の回答の前年(1948年)12月23日、まさに明仁天皇の15歳の誕生日に、7人のA級戦犯が処刑されたという重い現実が影を落としています。それは明らかにGHQによる意図的な行為で、その後、誕生日を迎えるたびに明仁天皇はA級戦犯の処刑を思い起こし、第二次大戦と日本の敗戦について、昭和天皇の戦争責任について、さらには新しい時代の象徴天皇制について、さまざまな思いをめぐらせたはずです。

 ですから私は現在の日本で、明仁天皇ほど、少年時代から重荷を背負い、そのなかで、もがき、苦しみ、深い思索を重ねた方はいないのではないかと思っています。

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