こういった動きは、バブルの終焉期ではよく見られる。一般向けの広告を行わなくても買い手が容易に現れるのがバブルの絶頂期。業者が買い手を積極的に探さなければならなくなるのが終焉期。今がまさにその時ではなかろうか。
では、この後はどうなるのか? 日本銀行が追加の金融緩和でも行わない限り、個人向けの利回り物件はなだらかに市場価格を下げていくはずだ。
世界の景気も後退期に入ったと目されているので、どこかでこういった動きは加速するはず。中国の経済成長が停まっているし、ヨーロッパもイギリスのEU離脱が控えている。IMFの観測でも世界経済の成長は鈍化するとされている。下落幅がきつくなると、「暴落」に近い状態にもなり得る。
日本銀行はそういった事態を望まないから金融緩和をやりたい。しかし、金利ゼロでマネーサプライがじゃぶじゃぶになっている現状から、さらに踏み込んでの金融緩和など実質的に不可能である。つまり、日銀には投資用不動産の価格下落は止められない。かといって、スルガ銀行が行ってきたような杜撰な融資を黙認するのも、世論が許さない。
すでに、投資用の一棟マンションやアパート、小規模なビルの価格は下がり始めている。最盛期に比べると3割ほど売り出し価格を下げている物件もチラホラと見られるようになった。しかし、まだ高い。
2013年からのアベノミクスと異次元金融緩和で、こういった利回りものは2倍程度に値上がりしてきた。2割や3割値下がりしても、まだ6年前の水準よりも高いのだ。
そもそも、ここ6年ほどで都心を中心とした一部エリアで日本の不動産価格が異様に高騰したのは「住む」、「使う」という需要が高まったからではない。金利がゼロ近くに下がり、マネーサプライが異次元に高まったからである。
つまり、実需に拠らざる価格高騰。言ってみればバブルである。そのいびつな価格高騰が、かぼちゃの馬車やレオパレスの事件となって表層化してきたのだ。今後もこの手のバブルの仇花のような事件は頻発する可能性がある。
そう考えると、下落が始まった利回りものはさらに価格が下がる可能性が高い。売り急ぐ投資家からは時に投げ売りも出てくるだろう。