この日も急患が運び込まれた
他にも、災害時7日以上の自力運営が可能な自家発電機、地下水利用システム、マンホールトイレの設置など震災経験からの現実的な多くの機能が盛り込まれた。特に目を引くのが、開放的なICU(集中治療室)だ。
「不眠や幻覚などに陥りやすい患者さんの不安を少しでも和らげるために、木目のインテリアや、まぶしさを軽減する穏やかな調光の間接照明にしていただきました。また、窓を大きくとって向かいの公園を眺められるようにともお願いしました。ICUの機能性を維持しつつも患者さんが安らげる環境になっている」(同前)
鹿島建設建築設計本部の海野裕彦・技師長
目立たない部分にも最新技術が施されている。設計を担当した鹿島建設建築設計本部の海野裕彦・技師長が言う。
「既存の免震B棟と免震新C棟を2階で接続する通路は、重傷患者搬送が最も多い場所であるため、地震時及び平常時の性能について多くの改善要望をいただきました。
そこで免震建築物同士を接続する部分では日本で初めてとなる『平常時フルフラット型免震エキスパンションジョイント床金物』を採用。これは地震時に最大で1350mmの可動幅を確保でき、なおかつ平常時は床面に段差が生じない構造になっており、これにより常時、緊急搬送用の安全な動線を確保することができました」
細かな部分まで医療従事者の要望を設計に取り入れられたのには理由がある。鹿島建設営業本部医療福祉推進部の岡部光一・営業部長が言う。