国内

オレオレ詐欺グループ 諜報機関スパイと同じ手法で業務連絡

スパイとオレオレ詐欺グループの業務連絡手段が同じ

 情報を守り、自由を保持するために、送るメッセージの秘密を守りたい。そんな人のために開発されたアプリ(メッセンジャー)は、送信した内容を記録ごと自動的に消去する機能を持つ。機密性の高さで人気を集める一方で、オレオレ詐欺の世界で広まり犯罪にも利用されている。ライターの森鷹久氏が、ますます見えないところへ潜って活動し、ネットワークを広げるオレオレ詐欺の世界についてレポートする。

 * * *
 ついに起きてしまった「アポ電強殺事件」。逮捕された男のうち一人は、SNS上で「音信不通になったオレオレ詐欺の受け子」として顔写真が晒されていた。この事例からはオレオレ詐欺に加担する人たちの遵法意識の低さがうかがわれるが、それだけでなく、彼らがネットを介して知り合い、簡単に犯行に手を染めている様子や、その実態も見えてくる。

 筆者もこれまで、オレオレ詐欺グループの実情について受け子や出し子たちが「保証金」を支払わなければならないほど、詐欺グループ内の人間関係が崩壊しているなどといった詳細を記してきた。今回は、実際にSNS上で詐欺などの「裏仕事」をやってきたという複数の人物と接触。彼らが生息する「詐欺業界の末端」で何が起きているのかを聞いた。

「大学を辞めて学生ローンから借りた借金が70万円あった。パチンコにもハマっていて、とにかく切羽詰まっていた時に、ツイッターで“高額バイト”とか“闇バイト”などとうたい仕事の募集をしているアカウントを見つけ、返信したんです」

 南関東在住のアルバイト・横山茂樹さん(仮名・27歳)が、ツイッターを通じて「裏バイト」に募集したのは、ちょうど一年半前のこと。ギャンブルで作った借金に加え、浪人や留年を繰り返した末に大学を辞め、自暴自棄になっていた頃だった。

「すぐDM(ダイレクトメール)で、と返信が来ました。DMでは“明日から仕事できますか?”と聞かれましたが、どんな仕事かを聞くと“まずはGメールに登録してください”と言われて。最初意味がわかりませんでしたが、新しくアカウントを作りました」(横山さん)

 Gメールは、グーグル社が提供する無料のメールサービスで、同社によれば世界のアクティブユーザーはおよそ10億人。誰もが気軽に使える、安心、安全のサービスとして認識されているが、詐欺グループはこのGメールを連絡ツールとして利用した。

「Gメールのアカウントを作ると、相手にIDとパスワードを教えるよう言われました。メールでやりとりすると思っていたのですが、二人で同じアカウントに入り、下書きメールにお互いに書き込んで連絡を取り合うんです。こうするとバレない、と言われました」(横山さん)

 実はこの方法、辞任したCIA長官が不倫相手との連絡方法として用いたことでも知られるが、諜報機関に所属するスパイたちが仲間と連絡を取り合うのに使った手法でもある。メールでのやりとりがなされないため情報が拡散しないのだ。そして、Gメールサイトにアクセスした形跡は残っても、下書きメールをその都度消していけば、どんなやりとりをしていたかもメールの中味を見られただけでは分からない。

関連記事

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン