スポーツ

【角居調教師連載最終回】調教のキモは競走馬と人間の関係性

角居勝彦調教師の連載は最終回

 ファンファーレが鳴り、さあレースというときに、ゲートインを嫌がる馬がいる。問題があってあらかじめ先に入れるケースもあるが、ある日突然拒絶する馬もいる。彼は走ることが嫌なのだろうか? 『週刊ポスト』での角居勝彦調教師による連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、お届けする(最終回)。

 * * *
 いえ、馬は走ることは大好き。走ることで気持ちを安定させる動物です。ではなぜ? 緊張感の中でムチをふるわれることが嫌。つまりレースを嫌がっているのです。こういう馬は、ゲートが開いてからも、鞍上の指示にも従えない。自分の主張が通ると駄々をこねている。我慢が利かなければ競馬には勝てません。

 そんな光景は、残念ながらファンにとっては投票の締め切り後ですね。しかし投票以前にも、それと同等の情報は必ず発信されています。ダメな馬も、そして勝てる馬も。ゲート入りの例は分かりやすいけれども、分かりにくい情報も数多い。

 見逃せない情報とは? その情報にどういう意味があるのか? どう見極めるのか? そういった「分かりにくいこと」を、調教師の立場から解説したのが本欄でした。

 ファンは勝つ馬を推理する。それが競馬の楽しさなのでしょう。どの馬が勝つのか、そう簡単には分からない。推理が難しければ難しいほど、的中したときの喜びはひとしおですよね。調教師としては一分の隙もなく馬を仕上げてレースに臨みたい。そんな馬が18頭揃うと素晴らしい。ダメな馬など一頭もいない。しかしファンからすれば予想は難解極まりないですね。結果として、競馬を分かりにくくするのが調教師の仕事なのかもしれません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン