国内

『シン・ゴジラ』ロケ地の地震避難体験施設に挑戦したら…

被災地のポイントごとにクイズが出され、回答しながらサバイバル体験していく

 現実に似せた状況に身を置き、本物に近い感覚を知る“疑似体験”の場が増えている。そこで、“地震後の避難生活”の体験に記者が挑戦した。

 映画『シン・ゴジラ』のロケ地でもある東京・有明の東京臨海広域防災公園。そこに無料防災体験学習施設「そなエリア東京」はある。

 2015年のリニューアル以後、「東京直下72h TOUR」という疑似体験コースには毎年25万人超が詰めかける。人気の秘密は“地震発生後から72時間の生存力を身につける”がテーマであること。非常に現実的かつ実践的なのである。

「大地震で被災した人の生存率は“72時間の壁”を過ぎると著しく低下します」とは、同施設管理センター長の丸山浩司さん。

「その一方、政府や自治体の支援態勢が整備されるまでの目安もおおむね72時間。震災後3日間(72時間)をどう自力で乗り切るかが現実問題として非常に重要です。特に大都市での被災は、避難所の許容能力に限界があるため、在宅避難の備えも大切になります。そんな自助の知識や、気づきを提供するのが本施設の目的です」(丸山さん)

 タブレット端末でクイズに答えながら、発災から避難までの流れを徒歩で約30分体験。最後は参加者それぞれの生存確率も算出される。

◆商店街で植木鉢が落ちそうなお店は?

 いよいよ被災体験開始。入口でタブレット端末を渡され、【1】外出先で地震にあう、【2】自分の住む町で地震にあう…という2つの選択肢から、今回は【2】のシナリオを選ぶ。

 タブレットに最初のクイズが表れる。「エレベーターの中で地震にあったらどうする?」。答えは二者択一で、「すべての階のボタンを押して、いちばん近い階で降りる」が正解。

 その直後、駅ビルのエレベーターで下降中にマグニチュード7.3、最大震度7の首都直下型地震が起き、緊急停止!

 エレベーターから降りると停電した従業員通路。避難誘導灯を頼りにビルを出ると、被災した街並みエリアだ。ビルや電柱が傾き、木造一戸建ては倒壊。街は停電し、奥では火災が発生。鳴り響くギューギューという緊急地震速報の音に心がざわつく。

 ふたたび、クイズ。「商店街で植木鉢が落ちそうなお店を見つけよう!」。ラーメン店やカギ店、美容室などの選択肢があり、答えは美容室。街中の危険箇所を喚起する設問設定だ。

 また、家具やテレビを固定してある部屋と固定していない部屋を見比べることもでき、「家具を固定していない部屋にいたら助からない」を痛感。

 さらに、ようやく着いた避難場所や避難所で、携帯トイレを使う際のAR動画や尿を凝固剤で固めた1回分の重さから、改めて避難所生活で用を足す困難を思い知る。

 はじき出された記者の生存確率は40%。再挑戦したい、大いなる気づきの場だった。

【そなエリア東京】
 首都圏で直下型地震などの発生時、国の緊急災害現地対策本部が設置される東京臨海広域防災公園内の防災体験学習施設。
住所:東京都江東区有明3-8-35
営業時間:9時30分~17時(入場は16時30分まで)
定休日:月曜(祝日の場合翌日)
料金:無料

撮影/政川慎治

※女性セブン2019年4月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン