ライフ

【著者に訊け】大山顕氏 前代未聞「立体交差」の写真集

『立体交差 ジャンクション』を上梓した大山顕氏

【著者に訊け】大山顕氏/『立体交差 ジャンクション』/2500円+税/本の雑誌社

 ゾワッ、とするかどうか。何事もマニアになれるかどうかは、おそらくそれを見る人の「体質」で決まる。

 本書『立体交差』にしても、その文字面だけで「!」とくる人もいれば、「?」と思う人もいて当然。著者・大山顕氏はむろん前者だ。団地や工場鑑賞の先駆者でもある「ヤバ景」愛好家が厳選した名ジャンクションの写真114点と、その歴史的、社会学的考察「立体交差論」から成るこの写真集は、たかが立体交差、されど立体交差と言いたくなるほど奥の深い土木インフラの世界へと読者を誘う。

 本論でのキーワードは〈緩衝地帯〉〈最適化〉など多々あるが、それらがより安全で平穏な社会を期して人間が造った産物であることを、ヤバい景色たちは再確認させてくれる。

「まずはヤバ景の定義から説明すると、例えば英語のbadにはクールという意味もあるように、僕は『ヤバい』に両方の意味を込めています。工場や団地はもちろん、田畑や雑木林も相当ヤバいと思うんです。

 でもみんな田畑は褒めても工場風景は褒めず、しかも実際は人が手を相当かけている田園風景を自然だと本気で思ってる。それこそ〈景観問題〉を議論しようにも、ベースとなる教育も知識もないまま感覚論や感情論に終始していて、日本人はまだ景観を語れる段階にないと思うんです。だから僕はこの〈立体交差論〉を書き、感覚も理論も両方網羅した、よりフラットな見地から、この国の景色を見直したかったんです」

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン