国内

黒田日銀の緩和策が「かつての日本軍と似ている」理由

黒田日銀の政策は「戦争をやめるにやめられなかった旧日本軍」に似ているという(時事通信フォト)

 新元号「令和」が発表されたのと同じ4月1日、日銀短観(3月の全国企業短期経済観測調査)の発表があった。大企業・製造業の企業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12で、前回調査(2018年12月)から7ポイント悪化──この数字は、第2次安倍政権が成立した2012年12月(9ポイントの悪化)以来の大幅な落ち込みだった。

 改元に向けた祝賀ムードの中で、株式市場はいわゆるご祝儀相場となったが、その一方で、多くの企業が景気の先行きに悲観的になっている現実を象徴するニュースだった。

 アベノミクスのスタートから丸6年──。「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の「3本の矢」に続いて、「国内総生産(GDP)600兆円」「出生率1.8」「介護離職ゼロ」を目標とする「新3本の矢」も発表されたが、いまだに政策目的である「デフレ脱却」には至っていない。

 この間、日本銀行(黒田東彦総裁)の異次元金融緩和により、日銀の国債保有残高は約470兆円にまで積み上がり、政府が発行している国債の残高も約1000兆円に達している。これほど莫大な借金を重ねながら、なぜ「デフレ退治」を実現できないのか?

 新刊『日本銀行「失敗の本質」』の著者で、アベノミクスを最も長く批判してきた朝日新聞編集委員の原真人氏は、そもそも政府が掲げる「デフレ脱却」の定義自体のあいまいさを指摘する。

「たしかに内閣府は、『デフレ脱却』を『物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻ることがないこと』と定義し、確認するモノサシとして消費者物価指数やGDPデフレータなど経済4指標をあげていますが、実際、2017年7~9月期にこの4指標がそろってプラスになった時には脱却宣言をしませんでした。それぞれの指標のプラス幅はまだわずかで、その後マイナスに戻るリスクもあるというのが、その理由でした。

 一方で、安倍首相は、政権発足後3年近くなると、その成果をアピールすべく『もはやデフレではない状況をつくり出すことができた』と発言するようになりました。ただし、その後に必ず『物価が持続的に下落する状況に戻らないとまで言い切れず、デフレ脱却とは言えない』と付け加えています。こうなると、何をもってデフレ脱却と呼ぶのか、誰にも判断できません」(原氏、以下同)

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト