◆1回入試の学校も軒並み増

 いまの中学入試は1つの学校が5回も6回も入試を行うことが普通である。入試回数を増やせば受験者も増えるので、学校はどうしても入試回数を増やす方向に走る。そうした中でキリスト教系には依然として1回だけを守っている学校が多い。

 そこで、1回入試の学校の受験者はどうだったのか気になった。入試をいじっていない学校が増えていれば、動向が本物だからである。

 カトリック校で1回だけは白百合学園、雙葉、湘南白百合学園、横浜雙葉。このうち湘南白百合学園(-15人)以外は増えていた。また、プロテスタント校で1回だけは女子学院、立教女学院、フェリス女学院。この3校はすべて増だった。

 白百合学園、湘南白百合学園(この2校は2月2日が入試日)以外はすべて2月1日が入試日であるから受験生は重ならない。確実にキリスト教系の学校志望のすそ野が広がったと言えるのである。キリスト教系の学校への「再認識」が起こったことは間違いないであろう。

◆キリスト教系学校「再認識」の背景

 学校説明会に足を運ぶと、「キャリア教育」に関しての取り組みを熱心に語る学校が多くなっている。それは、保護者側が、「大卒の就職難」(今年はずいぶん好転したが…)、「就職しても3年で退社」といった報道を頻繁に目にし、わが子の将来に強い不安を感じていることと軌を一にしている。

 ひと昔前の難関大学に入れてほしいという「願望」から一歩進んで、わが子が将来仕事に就いてちゃんと生きていけるようにしてほしいと、「願望」の質も変わってきている。そうした意味では、「キャリア教育」は社会の、ひいては時代の要請なのだろう。

 ここからは私の個人的な印象なのだが、「キャリア教育」の説明を聴いていると、多くの学校では「何になるか」にポイントがあるように思う。これに対して、キリスト教の学校では「どう生きるか」に主眼が置かれているように感じる。じつはこの違いは大きい。前者は概ね「仕事調べ」→その仕事に就くための「大学研究」という流れになる。

 しかし、会社を途中で退職した経験を経て60代になってみると、「何になるか」以上に「どう生きるか」のほうが人生においては『長持ち』するような気がする。激しく変化するこれからの時代を生きる生徒にとっては尚のことそうではないだろうか、と感じるのだ。

 また生徒がこれから巣立つ社会では、他者に共感し、他者と共に働き、他者と共に生きることが、否応なく必要になる。そうした時代に向けて、キリスト教系の学校の「他者のために生きる」精神に触れておくことは意味のあることではないだろうか。

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