しかし、親の目が届かない学校内の事故です。例えば、学校で許されている危険性がない普通の行動で、たまたま事故が起きたのであれば、その行動から他人の所持品を壊すことが予見できない場合、普段から危険な行為に及ばないよう子供に通常の躾をしていた親は、責任を負うことはありません。他方、学校は具体的事情により、先生や管理者が監督義務を尽くしていたか、判断されます。
加害者が中学生の場合、生徒が賠償責任を負います。普段の加害生徒の行状から、スマホを壊すような粗暴な行動が予見できた場合、その指導監督を怠ると、親も不法行為責任を負うことになります。学校も同様に、被害生徒に対する安全配慮義務違反として、賠償責任を負う場合があります。なお、被害者に落ち度があれば、賠償額は過失相殺で減額されます。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年4月26日号