国内

評論家・樋口恵子氏 70歳で都知事選立候補の暴挙に出た理由

評論家の樋口恵子さんが「70代」を語る

 品切れ書店が続出し、たちまち3刷が決まった『70歳のたしなみ』(小学館)。昭和女子大学理事長・総長で『女性の品格』(PHP新書)著者の坂東眞理子さんが、人生100年時代が現実になった今、幸せな高齢期を過ごすために持っておきたい32の「たしなみ」をつづった新著だ。これから70代を迎える人たちに向けた本だが、では、70代を終えた人はどう70代を振り返り、この本をどう読むのか。86歳の評論家・樋口恵子さん(86才)に読んでもらった。

 * * *
 人生100年時代と言われるように、ここ10年ほど日本人は「長生き」が当たり前になってきました。昔の70歳は、今とこれからの70歳とはまるで違います。この本は、人生90~100年の長寿時代を我が身に自覚して生きる世代の実感から生まれています。本格的長寿時代の初代として、たくさんの「発見」と、新しい事態に対応する「発明」がいっぱいに詰まっています。

 同じ団塊世代の方にとっては、ともに時代の風を自らの帆に受けて、これからの人生を生きる指針となるでしょう。もっと若い世代の方は、はるかに長いこれから歩む人生を見据えながら、先輩という生き方のモデルがあることを幸せに思うでしょう。

 著者の言うとおり、70歳は「もう」ではなく、未来に向けて多くの資源を身につけています。著者より半世代(約15年)年長の私は「70代」は老いの働き盛りだったと今にして思います。

 でも、70歳に必要なことは、がむしゃらに働くことではなく、周りが見えて、他者に、特に若い世代に目配りし、自分は「上機嫌」に生きてみせる。それが70歳のたしなみという著者の意見に大賛成です。70歳をはるかに超えた86歳の私にとっても共感し、実践したい提案がたくさんありました。

 70歳といえば昔は大変な長生き。そこまで生きたら「まだまだ長い自分の人生」を決して投げ出さず、丁寧に大切に生きる。と同時にここまで無事に生きてきた立場として、同世代以下、これから生まれてくる人たちに対しても、何か役に立ちたいという思い。その思いを実践しようというのが、著者の言う「たしなみ」だと思います。

 日本は世界トップクラスの長寿国。しかし、2世代前は人生50年、その少し前は戦争で多くの人が不本意に早死にしました。今、私たちは自分で生き方を選べる平和な時代に感謝しつつ、何かできることを考えたい。この本を読んでつくづく共感しました。

 食い逃げは70代の恥。
 役に立つは70代からのたしなみ、と思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン