◆年の功は他者の命もいとおしめるようになる
本書を読んでいて、70代を通り過ぎた私から見ても、心に残った箇所がたくさんありました。いくつか挙げると―─
〈「もう」70 歳だから「今さら」何をしても遅すぎる、「どうせ」成果は上がらないと自分をおとしめるのは金輪際やめよう〉
私は70歳で都知事選立候補という一種の「暴挙」に出ました。ちょうど大学が定年になってひと区切り。「もう終わっていい」と悲愴な覚悟で臨みました。確かに多くのものを失い、大きな挫折ではありました。しかし、決して「終わり」ではなく、得たものも多く、こうして今も活動を続けています。70歳であろうと80歳であろうと、たった一度の自分の人生。その命をいとおしみ、年の功は他者の命もいとおしめるようになると感じます。
〈仕事も用件も行くところも与えられるのではなく、自分でつくるのだ〉
自分の70代を思っても、70代からは自分で仕事をつくっています。
〈自分を励まして少し無理して生きるのが高齢期を豊かにするライフスタイルだと思う〉
私も「少しの無理」は長生きの預金だと思っています!
〈女性は一つの幸福の型にとらわれなくてすむようになったから幸せになった〉
このあたり、男性にも女性にも「70歳」から見えるジェンダーの風景だなと思いました。
※女性セブン2019年4月25日号