溝上医師によれば、基本項目に加えて「空腹時血糖値」や「ヘモグロビンA1c」といった、追加項目の「血液データ」を入力すれば、さらに予測精度が向上する。
そこで身長165cm、体重87kgの本誌50代記者が血液データを含めて入力してみた。
ヘモグロビンA1cは5.9%という高めの数値だったが、空腹時血糖値が86mg/dlと意外に低かったからか、3年以内に糖尿病を発症するリスクは「0.5%」にとどまった。
最新の調査で、糖尿病患者は過去最多の約328万人に達した。糖尿病になると網膜症、腎症、神経障害の3大合併症に加えて、動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞のリスクが増えるほか、がんや認知症にもかかりやすくなる。
糖尿病はそうした深刻な病であると同時に、食事や運動などの生活習慣を早めに見直すことで防げるものでもある。溝上医師も期待を寄せる。
「リスク予測ツールの数値が高い場合は、生活を改善するきっかけにしてほしい。『同性・同年代との比較』も、実際の数字を見て高ければ危機感を抱くようになると思います。自分のリスクを把握して、自ら行動を開始することが肝心です」
現在のところ、発症リスクが算出される対象はこれまで糖尿病と診断されたことのない30~59歳の現役世代だが、溝上医師は今後、データを加えて対象を64歳まで拡大する方針だという。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号