国内

骨粗しょう症・バセドウ病などの処方薬、悪影響を及ぼすことも

処方薬が悪影響を及ぼすことも

 医師の監督のもと服用するのが前提である処方薬だが、中には長期的に服用されることの悪影響を見過ごされたまま処方されるものもある。特に時期や年齢によって体の状態が大きく変化する女性はその影響を受けやすい。

【骨粗しょう症】
60代の3人に1人の女性が悩むという骨粗しょう症も薬で治すのは考えもの。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂新書)の著者で、薬剤師の宇多川久美子さんは言う。

「骨を壊す細胞である『破骨細胞』の生成をゆるやかにすることで症状を抑えるのですが、同時に骨を作る『骨芽細胞』の生成も抑えてしまう。新しい骨が再生されにくくなるので、骨折すると治りにくい。また、副作用として尿酸値の上昇も確認されています」

【バセドウ病】
首の甲状腺の異常によって起きるバセドウ病。女性の罹患リスクは男性の5.4倍にのぼり、「女性の国民病」ともいわれる。東京慈恵会医科大学附属病院診療医長の坂本昌也さんが話す。

「バセドウ病の治療薬であるメルカゾールはホルモンの分泌を抑える薬ですが、急な発熱や妊娠への悪影響といった重篤な副作用が確認されており、慎重に用いる必要がある。ただ、専門医が少なく、処方の“さじ加減”を理解していない医師に漫然と処方されている場合もあるので注意が必要です」

専門医の厳重な管理下でなければ安易な服用は避けるべきのようだ。

【尿トラブル】
年齢を重ねると、頻尿や尿漏れなどの尿トラブルに悩む女性も増えてくる。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが解説する。

「過活動膀胱という診断名に対して病院で処方される薬はいくつかある。しかし海外の研究では『効果が出るのは半年間だけ』という結果が出ました。つまり、のみ続けても効果がない。それよりも骨盤底筋のトレーニングをした方が有効です」

【抗肥満薬】
“のむだけでやせる”と謳われる薬が注目を集めているというが、東邦大学医療センター大橋病院婦人科所属の医師、高橋怜奈さんは「お金もうけをしたい医師の安易な処方が目立つ」と警鐘を鳴らす。

「食欲調節中枢などに作用し、食欲を抑えることで肥満症を改善する抗肥満薬が美容系のクリニックで乱用されています。もともとはBMIが35以上など高度な肥満症患者が医師の指導のもと服用するよう定められたもの。便秘の副作用があって依存性も強いのですが、自由診療で1錠約500~1000円と高額なこともあり、てっとり早く稼ぎたい医師が患者に言われるがまま出していることもあります」(高橋さん・以下同)

いくら食べても太らない“夢の薬”など存在しないのだ。

「主治医を信じることはもちろん大事ですが、薬を手放す選択肢があること、知識を持って医師に質問することの大事さを患者さん自身も知っておいてほしい」

自分の体や病気、のんでいる薬について、今一度見つめ直す機会にしたい。

※女性セブン2019年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン