ビジネス

非を認めぬ黒田日銀総裁 近頃、会見場に空席が目立つ理由

4月25日の金融政策決定会合後、記者会見に臨む黒田東彦日銀総裁(時事通信フォト)

 日本銀行は、4月25日に開かれた“平成最後”の金融政策決定会合で、現在の「きわめて低い長短金利の水準」を「少なくとも2020年春頃まで」「かなり長い期間にわたって継続する」との方針を示した。これにより、従来の大規模緩和がさらに継続・強化される一方で、その“副作用”を和らげるための新たな制度の導入も発表された。

 日銀は、黒田東彦総裁の下で、年80兆円のペースで国債の買い入れ、年6兆円のペースで上場投資信託=ETFの買い入れを続けている。そんな「異次元」の政策を続けた結果、銀行などの金融機関が日銀から資金供給を受ける際に担保としていた国債が不足したり、市場でETFが枯渇したりする事態まで懸念され始めている。そのため、担保の対象となる債券を国債以外にも広げたり、日銀が証券会社などに一時的にETFを貸し出したりすることを可能にする新制度が導入されるという。

 朝日新聞の経済記者で、新刊『日本銀行「失敗の本質」』の著者である原真人氏は、今回導入された2つの施策について、こう分析する。

『日本銀行「失敗の本質」』の著者で朝日新聞編集委員の原真人氏

『日本銀行「失敗の本質」』著者・原真人氏(朝日新聞編集委員)

「7年目に入った異次元緩和を、さらに継続するための措置です。すべては『物価上昇率2%』という目標達成に向けて“持久戦”を続けるためですが、目標をクリアできるという確証は何もありません。今回追加された施策にも本質的な意味はなく、異次元緩和の“副作用”を和らげ、時間稼ぎするための弥縫策にすぎないと思います」(原氏、以下同)

 目標の未達が続くうえ、いつ達成できるかの見通しすら立たない“持久戦”──。それでも、記者会見に臨んだ黒田総裁は、「我が国の景気は緩やかに拡大している」「物価も2%に向けて徐々に上昇していく」と従来の見解を繰り返した。そこに、疑問や異論を差し挟む余地はまったくないようだ。

「就任から6年、黒田総裁の会見は50回以上行なわれていますが、黒田総裁は基本的にどんな質問が出ても、同じキーワード、同じフレーズ、同じ想定問答のなかでしか答えようとせず、その強気の姿勢を変えようとしません。

 黒田総裁は、就任時にすぐに『異次元緩和』をスタートさせ、『2年でお金の量を2倍にし2%インフレを達成する』と発表しました。ところが、2年では実現できずに6年となり、さらに今回の日銀の試算でも8年での達成は困難とされています。供給したお金の量は、当初の目標だった2倍どころか、すでに4倍超の500兆円に達している。どう見ても、“公約”が破綻しているのは明らかです。

 にもかかわらず、黒田総裁は『間違っていたとは思いません』と強弁し、『必ずや物価は上昇する』と、常に強気の姿勢を取り続けてきました。今回の会見でも、それが繰り返されたわけです」

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン
迷惑行為を行った、自称新入生のアビゲイル・ルッツ(Instagramより)
《注目を浴びて有料サイトに誘導》米ルイジアナ州立大スタジアムで起きた“半裸女”騒動…観客の「暴走」一部始終がSNSで拡散され物議に
NEWSポストセブン
「みどりの『わ』交流のつどい」に出席された秋篠宮家の次女、佳子さま(2025年12月15日、撮影/JMPA)
佳子さま、“ヘビロテ”する6万9300円ワンピース 白いジャケットからリボンをのぞかせたフェミニンな装い
NEWSポストセブン
オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン