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非を認めぬ黒田日銀総裁 近頃、会見場に空席が目立つ理由

「黒田総裁の会見で空席が目立つのは、聞いても時間の無駄だと考える記者が増えている証左ではないかと思います。記者会見は本来、情報を伝える相手に『正確に知ってほしい』『理解してもらいたい』と考えて開くものですが、時々、本当のことを言わずに済ませたい、不都合なことはできるだけ言いたくない、という記者会見があります。そんなときの会見は往々にして時間制限が設けられ、記者側にまだまだ聞きたいことがあっても、適当なところで打ち切られます。黒田総裁の会見も、残念ながら、そちらのカテゴリーに入ります。

 日銀総裁会見では、質問する記者をそのつど総裁自身が指名することになっていますが、黒田総裁は、気に入らない、厳しい質問をする記者とは目を合わせないし、指名しません。おのずとそういう記者に質問の順番は回ってこない。私もめったに指名されない記者の一人なので、よくわかります。

 私が直接知るここ5代の日銀総裁のなかで、会見場で質問しようと手を挙げている記者がまだ何人もいるのに、会見を打ち切ってしまう総裁は黒田さんだけです」

 日銀総裁会見は、いったい誰のための会見なのか? 「大本営発表」のような強気発言をどれだけ繰り返しても、現実は変わらないどころか、ますます深刻になっていくだけではないのか? かつての戦争とのアナロジーがリアリティを帯びてくるのは、故なきことではない。

※『日本銀行「失敗の本質」』より一部抜粋、再構成

【プロフィール】原真人(はら・まこと)/1961年長野県生まれ。早稲田大学卒。日本経済新聞社を経て、1988年に朝日新聞社に入社。経済記者として財務省や経済産業省、日本銀行などの政策取材のほか、金融、エネルギーなどの民間取材も多数経験。経済社説を担当する論説委員を経て編集委員。著書に『朝日新聞記者が明かす経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)『日本「一発屋」論-バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)などがある。

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