そして、2020年度入試ではずっと1回で来た暁星、湘南白百合の2校が複数回実施する。
【暁星】2月3日午前(4科)の1回→2月2日午前(4科)と2月3日午後(2科)の2回
【湘南白百合】2月2日午前(4科)の1回→2月1日午後(算数1科)と2月2日午前(4科or国算+英語資格)の2回
英語資格は、英語検定のグレードを得点化し、国算の2科の得点と合算して判定する。2月1日午後(算数1科)は、午前中にフェリス女学院、横浜共立学園、横浜雙葉を受けた受験生をターゲットにしている。
複数回入試にすることで、これまで受験していなかった層の応募が期待できることに加え、応募者数の増加も見込めるのである。
これらは学校のこれまでの入試の在り方を変えるものであるが、次は従来の2科ないし4科に加えて別のスタイルの入試を設けるケースを取り上げてみよう。
◆「算数入試」が増加している
新しいタイプの入試には多種多様なスタイルがあるが、ここでは近年急増している「算数入試」について取り上げよう。
算数入試は男子校では古くからあったが、2019年度入試で巣鴨、世田谷学園、普連土学園、開智日本橋、三田国際学園、目黒日本大学、桐蔭学園中等教育、栄東、西武学園文理と幅広い学校に一気に広がった。
2020年度入試でも、先の湘南白百合もそうであるが、そのほか現段階では、田園調布学園(2月1日午後)、富士見(2月2日午後)、玉川学園(算理入試/2月1日午前と2月2日午前の2回)などの学校が導入することを公表している。
算数入試が増加している背景には、小学校でのプログラミング学習の導入、AI化が進展する社会状況、STEM教育(科学、数学領域に重点を置いた教育)が注目されるなど、広く算数の力が求められるようになったことがある。
算数入試は塾に通っていた層が中心だが、社会状況の変化はさらに塾で勉強する内容とは別種のサイエンス系の新しいタイプの入試を生み出している。2019年度入試では、プログラミング入試(聖徳学園、相模女子大学、大妻嵐山など)、サイエンス入試(共立女子第二)、STEM入試(駒込)などがあったが、2020年度入試では、山脇学園が「探究サイエンス入試(理科と課題研究)」を行うことを公表している。
受験生を抱えている家庭は別として、一般の方にはこんな入試があること自体が信じられないのではないだろうか。今の中学入試はこのように大学入試、社会の変化を先取りしてここまで来ているのである。