◆「共学化」が好まれる背景

 中学入試は高校入試と異なり、別学の名門校が多数あり、また難関大学合格者数ランキングにおいて上位はほとんど別学校であることから、学力上位層では男子校・女子校志向が強い。

 だが、易しい学校ではだんだん共学志向が強くなり、2013年から2019年の7年間で中学校が10校、高校は14校が共学化している。高校に多いのは、高校受験においては公立高校(首都圏では埼玉・千葉に少数の別学校がるだけで大半が共学校)を第一志望にしている受験生が多く、併願する学校も共学校になるためである。

 共学校が好まれる背景としては、以下のようなことが挙げられる。

・社会に出たら男女一緒に働くのだから、いまから何事も一緒にやっておいたほうがいい。
・幼稚園(保育園)、小学校と男女一緒だったので、それがふつう。
・共学校は歴史が浅いが、それだけに明るく開放的な校風であるからいい。

 ひと昔前の中学入試では、レベルの高い共学校は、お茶の水女子大附属、筑波大附属、東京学芸大附属の4校といった国立大学附属や、青山学院、慶應中等部といった付属校であり(法政大、明治大、立教大などの付属は以前は皆男子校であった)、進学校はなかったのである。それが渋谷教育学園渋谷のような進学校が生まれてきたことで、共学志向のすそ野が広がったということが言えるだろう。

 2019年度は桐蔭学園中等教育学校、武蔵野女子学院(武蔵野大学中学に校名変更)、横浜富士見丘学園が共学化したが(高校は明法、横浜富士見丘学園の2校)、2020年度も小野学園女子(品川翔英に校名変更)、聖ヨゼフ学園が共学化する(高校は品川翔英、武蔵野大学高校、横浜の3校)。

 明法、横浜といった男子校が、中学は男子校のままで高校だけを共学化するのは、先に述べたように公立高校の併願先としては共学校のほうが選ばれやすいからである。

 中学入試も高校入試も私立志向は高まっているが、このように内実では生き残りをかけた競い合いが激しいのである。

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