子供の数よりペット数が上回る現在の日本では、人間だけでなく、ペットの高齢化も解決すべき問題のひとつとして浮上している。年老いたペットの世話をどうするのか、飼い主が年老いたときは、何をすればよいのか。そんなときに頼りになる、愛犬&愛猫の老後を支えるサービスを紹介する。
◆ペットシッター
加齢とともに体力が衰える一方、飼い犬が大きくなってくると不安になるのが散歩。強い力で急に引っ張られると思わぬ事故やケガにつながる。そこで利用したいのがペットシッターだ。自宅までシッターが訪問し、餌やりやトイレの掃除、散歩などを代行してくれる。
「ペットシッターがどんなサービスをしているかまで知っている方はまだ少ないですが、近年、アクティブシニアはもちろんのこと、身体の弱ってきた高齢者の利用が増えています」(麻布ペット・森英晃氏)
麻布ペット(東京都渋谷区)では、動物介護士などのペット関連資格を持つ約40名がシッターとして登録されている。
◆ペット飼育OKの老人ホーム
加齢に伴い老人ホームに入居することになった時、ペットを受け入れる施設は意外なほど少ない。特別養護老人ホーム「さくらの里山科」(神奈川県横須賀市)は、長年連れ添ったペットと入居できる全国でも珍しい老人ホームだ。
「入居者の平均年齢は80代後半で、多くが独居老人です。施設がペットとして飼育する犬や猫を含め、現在18頭います。認知症で家族の顔すら忘れた方が、入居を機にペットの名前を覚えたり、家族を認識できたりするようになった例もあります」(若山三千彦施設長)。
ホームに同居する9頭の猫のうち、4頭が開設当初から飼育されている保護猫。施設内はこまめに清掃され、動物特有の匂いはほとんどしない。
絵を描くのが趣味という入居者の澤田富與子さんは「この子の目が開かない時からずっと一緒でした。今もこの子がいないと眠れません」と、愛猫について愛おしそうに語る。
体が不自由になってペットのケアができなくなっても、ドッグトレーナーの研修を受けた介護士が世話をしてくれるほか、飼い主の没後も施設のペットとして飼い続けるので安心だ。