ペットを飼いたいけれど、自分の寿命を考えると躊躇してしまい、飼育を諦める人が少なくない。だが、60歳を過ぎてからペットを飼ってよかったと語るのは、俳優の前田吟(75)だ。愛犬との出会いと今を、前田が語る──。
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僕が人生で初めてペットを飼ったのは67歳の春、8年前の2011年4月です。当時、妻が体調を崩し気味で、犬好きの孫から「ひ孫のつもりで犬を飼おうよ」と勧められたのがきっかけです。その前月、未曾有の災害に見舞われた東日本大震災を目の当たりにし、残りの人生の送り方を見つめ直したことも背景にあります。
新しい家族として迎えたのが、このロングコートチワワの「パト」(オス)。2か月前に生まれたばかりの子犬でした。名前は、孫が好きだったサッカー元ブラジル代表FWアレシャンドレ・パト選手からもらいました。
とにかく元気でね。「散歩!」「遊んで!」「ごはん!」と、1時間たりともじっとさせてくれませんよ(笑い)。おかげで人間の僕たちも規則正しく、健康的な毎日を送っています。