文人で言えば、「銀河鉄道の夜」の宮沢賢治もサイダー好きだったようで、行きつけだった1923(大正12)年創業のそば店「やぶ屋」(岩手県花巻市)では天ぷらそばとサイダーが定番の注文だったという。ちなみに天ぷらそばの価格は15銭だったのに対して、サイダーは23銭。当時の清涼飲料水は天ぷらそばよりも高額だったのだ。
翻って現代の清涼飲料水は誰もが手に取りやすくなった。2000年代には清涼飲料水における甘味離れが起きた。2001年、総務省の消費者物価指数の調査対象品目から「サイダー」が外れることになり、代わりにミネラルウォーターが対象品目として追加されたのだ。
時代に応じて清涼飲料水のトレンドはゆるやかに移り変わる。この数年、「無糖×微香」が人気だったが、今夏は「機能性」も加わった。ミネラルウォーター国内シェアトップの「サントリー天然水」は6月中旬から「熱中症対策飲料」を謳い、「うめソルティ」味を売り出す。その他、夏に向けてコカ・コーラの「いろはす」の「塩レモン」など、爽やかに体を潤すアイテムが続々と小売店のドリンク売り場にお目見えするはずだ。
今年の夏も猛暑が予想される。