「経口補水液は血液の浸透圧に近いので吸収されやすく、“大量に汗をかいたとき”の水分補給に適しています。しかし、一般的なスポーツドリンクよりナトリウム濃度が高く、汗をかいていないときに飲むと塩分の摂りすぎになってしまう可能性がある。
運動や屋外の作業などで汗を多くかいたときはいいですが、そうでないときから飲用する際は注意が必要です」
◆“涼感物質”で皮膚と脳が錯覚
ドラッグストアなどには、熱中症対策グッズが多く並んでいる。近頃は衣服にかける「冷感スプレー」や皮膚に塗る「冷感クリーム」なども人気だ。手軽に清涼感を得られる一方、落とし穴がある。
「アルコールやメントールといった“涼感物質”が入っています。たしかに皮膚表面の体感温度を下げてくれますが、実際には体温を下げているわけではありません。皮膚と脳を“涼しい”と錯覚させているというのが正確です。
すると脳が発汗の指令を出さず、結果として体温がどんどん上昇してしまうので、熱中症にかかりやすくなるケースがあります」(前出・田中氏)
◆「冷却ジェルシート」は貼る部位次第
おでこに貼るタイプの「冷却ジェルシート」はどうか。
「こちらは、ジェルに含まれる水分が蒸発する際に熱を下げる効果は期待できます。ただ、おでこに貼るのでは体温を下げることには寄与しない。より効果的なのは、動脈が皮膚に近いところを通っている首筋、脇の下、鼠蹊部などに貼ることで、全身を冷やすことができます」(前出・星氏)