街の明るい材料としては、2018年10月に築地の市場が豊洲6丁目の新市場に移転したこと。散々すったもんだしたことは記憶に新しいが、新市場が築地並みの集客力を持つ人気の観光スポットになれば、豊洲や対岸の有明エリアの未来も明るい。
しかし、どうだろう。新市場は予想以上につまらない場所に仕上がってしまった。活気ある鮮魚取引の現場はガラス越しにしか見ることができないし、期待の飲食店街は、まるで地方空港のターミナルのような装い。鮮魚を取引している間近で営業しているという臨場感はまるでない。これでは早晩、人を集めることはできなくなるだろう。ただでさえ交通利便性が悪いというハンディキャップを背負っているのだ。
新市場を取材した後、私は新橋行きのバスに乗った。ゆりかもめの「新市場」駅を利用することもできたが、あれは乗っていてイライラする。グルグルと臨海部を回るので、なかなか新橋に着かない。着いてもJRや地下鉄までたっぷりと歩かせられる。だから、一度乗るとうんざりする人が多い。
結局、築地市場場外の目の前にある「築地6丁目」というバス停で降りてみると、驚いたことに、こちらのほうがよほど賑わっている。しかも、欧米系のインバウンドや若い日本人が多い。豊洲の新市場を見学していたのは、日本人の中高年と東アジア系のインバウンドが中心だったので、賑わい方が明らかに違う。築地場外のほうが圧倒的に人気は高そうに思えた。