国際情報

北京の創業100年超の銭湯が閉店危機 開発やPM2.5の影響も

歴史ある銭湯が危機に

歴史ある銭湯が危機に

 中国の首都・北京市でもっとも古く、100年以上の歴史がある銭湯が存続の危機に追い込まれている。北京市内の急速な開発によって、周辺に高層ビルが立ち並び、早晩、銭湯がある区域に開発の波が押し寄せてくることが予想されるからだ。しかも、銭湯の土地は国有地で、政府に立ち退きを求められれば従わざるを得ず、北京市内の唯一の銭湯は風前の灯火となっている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。

 この銭湯は北京市南部近郊の南苑地区にある「双興堂」。この地区には中国人民解放軍空軍の南苑飛行場など軍の基地が集中している。双興堂が開業した103年前の1916年にも当時の中華民国軍が駐留していた軍の町で、当時も兵士が疲れを癒しに来ていたという。

 ただ、現在では周辺にマンションなどが立ち並んでおり、家庭にバスルームが設置されているのがほとんどなことから、客は常連ばかりだ。常連同士で、中国将棋をしたり、かごに入れた小鳥を持ち寄り、鳴き声を楽しんだりと、昔ながらの楽しみに興じている。

 客は平日は1日約70人ほどで、土日など休日は100人ほどだが、年間を通じると赤字だという。その理由は、北京市政府が環境汚染撲滅のスローガンの下、PM2.5(微小粒子状物質)など大気汚染の原因となる石炭の使用を禁止したことから、電気でお湯を沸かさなければならなくなったからだ。

「安価な石炭に比べて、電気代は5倍もかかり、経営を圧迫している」と店主の熊鋼鐵さんは語る。熊さんは54歳で、父親から経営を受け継いだという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン