日本のアニメやアイドル好きの顔を持つ周さん
──今回の改正案の危険性は、どんな点にあるのでしょうか?
「可決されたら、中国共産党に批判的な香港人が中国に引き渡されるかもしれません。中国は公平透明なシステムもないし人権も命の保証もないので、みんなはそれを心配しています。中国では民主化を求める弁護士や運動家が、ある日突然、重い身体障害が一生残る状態になったり、亡くなってしまうことが少なからずありますから。
香港に来た外国人の安全にも大きく影響します。もともと香港は多くの海外企業が拠点を置く国際金融都市ということもあり、自由も人権の保障も公平な法律制度もありました。だけど、今後はそれが脅かされることになります。
日本人が当たり前に持っている権利を、私たちはどんどん失っていくことが悲しいですし、可決されたら香港はもう香港じゃなくなってしまう……」
◆残るのは「絶望感」だけ
──5年前、あなたは「雨傘運動」のシンボル的な存在になった。
「雨傘運動は、香港に今までなかった『普通選挙』という“新しいもの”を求める運動でした。デモ参加者の間でも“普通選挙って一体どういうものなのかわからない”という状態だったので、考え方には、それぞれ少しずつ違いがあったようにも思います」
──79日間に及ぶデモは、具体的な成果を残せなかった。
「でも今回は、何か新しいものを求めるわけではなく、“すでに存在している自由”が奪われようとしていることに対して立ち上がった。逃亡犯条例案を撤回させ、反対するという目標がはっきりしている。みんなが同じ目標を見ている分、熱気も団結力も違います」