◆ひとりで抱え込まないこと
そして重要なことは、ネットに一度出てしまった情報は、どこかに必ず残っていると、考えること。
「ネットに情報を載せるということは、その情報のコントロールを『諦める』こと。たとえ書き込みを削除出来ても、同じ情報が、別の知らないサイトに書かれているかもしれない。誰か個人のパソコンに保存されたかもしれない。確認するすべはありません。ネットに情報を消し去るという概念はないのです。だから、ネットに情報を載せるという行為には、それなりの覚悟が必要になります。
また、SNSへの投稿が匿名で書かれたものだったとしても、ネット上のさまざまな痕跡をつなぎ合わせていけば、いつか実在する本人に必ずたどり着きます。そのことも知っておくべきでしょう」
ちなみに、ネットの書き込みを消す費用の目安は下記の通りだ。
●ネット上の書き込みの削除請求…1記事あたり2万円~、1ページ10万円~
●IPアドレス開示請求…5万円~
●IPアドレス発信者開示請求(仮処分申し立て・訴訟)20万円~
●投稿者へ損害賠償請求(裁判)着手金10万円~+成功報酬
大切なのは、個人情報が拡散されてもパニックにならず、冷静に対処することだ。自身もネットトラブルに巻き込まれ、100万回を超す殺害予告を受けたことのある弁護士・唐澤貴洋さん(41才)はこう語る。
「まずはひとりで抱え込まないことです。自分の悪口や個人情報が流出している時は疑心暗鬼になりがちですが、支えてくれる人がいると気持ちが楽になります。身近な人であれば友人や家族、またひどい誹謗中傷であれば警察や弁護士、法務省の人権擁護局のインターネット人権相談などに相談しましょう」
ネットが普及した今、個人情報の流出は仕方がない面もある。だが、書き込みや画像をアップする前に、ひと息ついて気を落ち着かせ、冷静に考えることも大切だ。そして困ったら、左の窓口に相談するのもよいだろう。
※女性セブン2019年6月27日号