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カネカ騒動やパンプス強要問題に見るハラスメントの今

 ハラスメントは、必ずしも悪意あるものばかりとは限らない。悪意の有無に関係なく、加害者が無意識でも受け手が嫌な思いをすれば、それはハラスメントになる。

 ツイッターをきっかけに炎上状態となったカネカの育休問題。育休復帰直後に転勤命令を受けた元社員の男性が退職したことで、パタニティー(父性)ハラスメント(パタハラ)ではないかと非難された。

 カネカから出された見解を見る限り、育児・介護休業法に定められているように「労働者の子の養育又は家族の介護の状況に一定の配慮がなされている」と見ることもでき、一概に違法行為とまでは言えない。しかし、元社員の男性がハラスメントと捉えた可能性は十分ありうる。

 カネカの見解には、以下のようにある。

〈育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません〉

 この見解の是非は別として、一昔前は男性が育休を取るなどまずなかったし、家庭の事情にかかわらず会社の転勤命令には従うのが常識だった。

 カネカの転勤命令に悪意があったかはわからない。ただ、少なくとも会社と元社員との間に常識感の違いがあり、これまで存在してきた“予定調和”が崩れたのは間違いない。

 そんな予定調和のほころびから、無意識のハラスメントが生じているのではないかと感じるケースを至るところで目にする。

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