ブレーキアームを従来のブレーキペダルと連結させて完成
『STOPペダル』は、アクセルを思い切り踏み込むと、調整ネジが開いてアクセルに作用する力が開放され、踏み込んだ力がブレーキに作用して、結果、車が停車する。ペダルを踏み込む強度は調整可能で、通常のアクセル操作でブレーキがかかるような誤作動はないという。南さんのアドバイスのもと、記者が試乗してみた。
アクセルを軽く踏むとゆっくりと前に進み始める。そこでグンッと思い切り踏み込んだ。すると、キュルキュルッとエンジンが空転する音をさせながら惰性で少し進んでから車は優しく止まった。
バックも試す。アクセルを踏むと後進し、そのまま思い切り踏み込むとエンジンが解除されブレーキがかかる。思いのほか止まり方が優しい。
続けて周辺を10分ほど走ってみた。幹線道路では法定速度の80㎞までスピードを上げたが、装置が作動することなく、いつもと変わらない運転で装置の存在を一切感じなかった。
高齢ドライバーの踏み間違い事故が連日伝えられるなか、『STOPペダル』への期待が大いに高まっている。
ちなみに、岡山県美咲町では昨年5月から、同県美作市では今年5月から、それぞれ65才以上を対象に装置の取り付けに補助金の交付がスタートし、本体価格と取り付け費用の3分の2(各上限額あり)の金額が助成されている。
この両自治体の動きに全国の自治体が関心を寄せ、両市町には多数の問い合わせがあるという。
「私の開発した『STOPペダル』が全国に広がればと願っています」(南さん)
後付け式のこのペダルは、装置を取り付けるブレーキアームが車種ごとに違う。現在取り付け可能な車種はトヨタの「アクア」で、6月下旬以降、スズキ「ワゴンR」などが販売予定。いずれはどの車種にも対応できるよう増やしていく予定だという。
※女性セブン2019年7月4日号
「世界中の車にこの装置が取り付けてもらえるのが夢」と南さん(撮影/伏見友里)