「18才で故郷を出てから、実の両親とは疎遠気味。特に母とはあまり仲がよくなくて。でも、ばあさんを看取ってから、母のことがとても気になるようになったんです。“人には必ず終わりが来る”ことを目の当たりにしたからかな?
ばあさんにしてあげられなかったことも、母には後悔のないようにしてあげたいと、切実に思います。以前の私なら思いもしなかったこと。ばあさんから、もう一度、親子関係を修復するチャンスをもらえた気がしています」
親が弱り、手助けが必要になる頃、子供世代はたいてい働き盛り。自分の人生で精一杯の時だ。
「親の老いは、親元から離れた子供がもう一度親と向き合える機会。子供にしてみると、青天の霹靂のように思えるかもしれないけれど、思えばこれもごく自然の流れですよね。私自身もこの本を描きながら母への思いを新たにしたように、読んでくださる人にも親のことを思い出してほしい。そして親の人生の最期をどう幸せに過ごさせてあげるか、親とどんな関係で終わりを迎えるかを、考えましょう。それは自分がどんな年寄りになっていくかということでもあると思うのです」
【Profile】
なとみみわさん●1969年生まれ。イラストレーター、漫画家。Web、雑誌、書籍、ムック、広告などを中心に活躍。『伴走介護』の漫画をはじめ、一昨年に看取った義母や家族の話、離れて暮らす実母の話を明るくつづる人気ブログ『あっけらかん』を連載中。
※女性セブン2019年7月4日号