ライフ

親の老いと介護の意味、子供がもう一度親と向き合う機会

イラストレーター、漫画家のなとみみわさん

 毎週、女性セブンに漫画連載をしている『伴走介護』。漫画も毎回ついているが、その作者、なとみみわさんは5月、長年ブログにつづってきた義母との日常を改めて描き下ろし、コミックエッセイ『ばあさんとの愛しき日々』(イースト・プレス)を出版した。

 義母と暮らす中で初めての介護を経験し、あたふたしたり、必死で勉強したり、涙したり。ブログではそんななとみさんの奮闘ぶりも人気だが、今回の本は“介護”がテーマではない。老いて少しずつ衰えていった“ばあさん”との生活の中で、介護よりもっと大事な“親とのかかわり”に気づいたという。

「ばあさんとはケンカもあったしイライラもしたし、本当につらいと思うこともたくさんありました」となとみさん。

 その時々のリアルな気持ちを率直につづったブログとは一線を画し、介護の苦労話やハウツー本ではない、まさに書名のとおり『ばあさんとの愛しき日々』を振り返りながら、全編描き下ろしたという。

「“誰も悪者にしない”というのがコンセプト。一緒に暮らせばどんな家族でも、衝突してうまくいかないことがある。誰かが要介護になればなおのこと。でもそこはあえて描かず、ばあさんのちょっと頑固だけど憎めない、いつも笑顔ですっとぼけるかわいい魅力に焦点を当てたんです。私たち家族は介護者ではなく、ばあさんに振り回される子供たち(笑い)。

 ブログに一度描いた場面も、もう一度思い出しながら描いていくと、当時は思わなかった気持ちがわいてきたりもしました。やっぱりばあさんは、みんなに好かれるいい人だったと、改めて思いました」

 義母が亡くなる少し前、望み通り最期を自宅で迎えさせようと、在宅介護のスタッフが一丸となって義母を支えてくれる姿に感激し、家族が心をひとつにして最期を看取ろうとするシーンは胸を打つ。

「家族が少しずつ老い衰え、最後は死んでいく…そんな自然の流れに感動しました。これは私の中では“介護”ではなかった。ばあさんと私と家族の普通の日常でした。だからこそ“介護をしている人”だけでなく、家族がいる普通の生活者みんなにこの感動を届けたかったのです」

 義母の人生の終わりを伴走したことが、別の力にもなったとなとみさんは言う。

関連キーワード

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン