首都圏で大学生の登録ボランティアは約300人も
◆大学生ボランティアならではの生活者目線
注目すべきは『御用聞き』のスタッフの9割近くが大学生ボランティアだということだ。
「大学生は、超高齢社会や地域活性の必要性などを社会の一員として知っている一方で、介護や福祉の専門家ではない。専門家が高齢者の困りごとに相対すると、どうしても制度やそのしくみの中で解決せざるを得ない。この困りごとはこのサービスで、でもそちらの問題は解決する仕組みがないから無理…と。その点、大学生ボランティアは専門知識や技術がない代わりに“普通の生活者”として臨める。視点が違うのです」(松岡さん)
地域づくりを勉強するため『御用聞き』でボランティアを始めて1年になる帝京大学4年生の西澤悠太朗さん(22才)は、旅行好きの80代の女性が海外旅行で撮影してきた大量の写真を整理、文書を作成し、旅行記を作る手伝いをしたという。現代はパソコンを繰れないのも切実な困りごとなのだ。
「写真を一つひとつ丁寧に選んでおられ、旅行記がこのかたにとってどれだけ大切なものなのか伝わってきました」
だが、高齢者を、社会で捉えられているような“弱者”と思ったことはないという。
「自分の祖父母も大好きなので、お話しして手伝うという仕事はおもしろくて興味深い。これからもっといろいろな地域に生活支援の場を広げていきたいです」(西澤さん)
生活者目線が重要なのは、同社が取り組む社会課題の1つ、“片づけられない部屋”にも当てはまるという。
「多くの場合、散らかったものをどうにかすることばかり注視します。ご家族も、親御さんのためを思いながら、つい責めてしまう。でも、最も大事だと思うのは、本人が“どう生活したいか”という視点。ここに耳を傾け、会話して解決策を一緒に探す手法で、社会を豊かにしていきたいと思っています」(松岡さん)
写真提供/株式会社御用聞き
※女性セブン2019年7月11日号