近年、ニホン鰻の稚魚「シラスウナギ」の不漁が続き、今年の漁獲量も過去最低の水準で推移。成魚である鰻の価格も高騰している。
庶民は気軽に口にできなくなりつつあるが、イオンリテール広報部の大瀧和孝氏は、「ここ数年、鰻の代替品に注目が集まっています」と話す。「イオン」「マックスバリュ」など、全国に約3000店舗を展開するイオンでは2016年から、近畿大学と養鰻業者が共同で育てた近大発ナマズの蒲焼を販売。今年新たに、サケの腹身を使った蒲焼を販売する。
「こうした代替品の売り上げは、3年前は蒲焼商品全体の5%ほどでしたが、昨年は1割を超えています。ナマズの蒲焼も、一定数のお客様にリピートして購入いただいています」(大瀧氏)
近大発ナマズを養殖するのは、鹿児島県にある日本なまず生産だ。2012年からナマズの試験飼育を始め、3年前から本格的に出荷するようになったという。
「ナマズというと泥臭いイメージが強いですが、アメリカや東南アジアでは普通に食べられている魚です。養殖に使う水は、温泉水や地下水を有効活用。近大の教授らと泥臭さを抑えるエサを研究しています。クセのない白身魚で、刺身でも食べられます。卸値は1キロ1300円ほどで、一般的な国産養殖鰻の約3割です」(代表・牧原博文氏)