注意すべきは、「声かけ」によってやる気を失い、学力が下がる場合もあるということだ。
アメリカの心理学者であるキャロル・S・ドゥエック氏が思春期初期の子供数百人を対象に行った実験によれば、同じ褒める行為でも、そのやり方によって大きく効果が変わるという研究結果が出ている。
難しい内容の問題10問を出題して解かせ、『8問もよくできたね、頭がいいね』と能力を褒めるグループと、『よくできたね、頑張ったんだね』と努力を褒めるグループに分けて声をかけた。この2つのグループはほぼ同等の成績だったが、その後、新たな問題に挑戦するかどうかを尋ねたところ、前者の多くが嫌がり、後者は実に9割が喜んで受け入れた。前者は「もし、次にいい点がとれなかったら、私は頭がいいとはいえなくなる」と考えるようになってしまったという。
その後、両グループに簡単な問題を解かせたところ、前者は成績が落ち、そればかりか得点を聞かれると4割が水増しして答えるという衝撃的な結果に。一方の後者は、成績が伸び、意欲的な子供が増えていったという。
この実験により、「天才だね」などと能力そのものを褒めた場合、かえってその子供の成長を止めてしまうことがわかる。褒めるなら努力そのものを褒めるのがよいようだ。
※女性セブン2019年8月1日号