芸能

新海誠監督語る『天気の子』 天気と人間の関係が変わった

新海誠監督(左)と雲研究者・荒木健太郎さん(右) 撮影/田中智久

 長野県の小さな町に生まれ育った新海誠監督(46才)。その両脇の町には電波天文台がある。星がきれいに見える場所だったという。季節によって見え方が変わる空を眺めて幼少期を過ごした監督が、最新作のテーマに選んだ「天気」。彼は天気の何を切り取り、どのように描いたのか。雲研究者・荒木健太郎さん(34才)による気象監修のもと完成した映画『天気の子』に込めた思い、人間と天気の関係を2人が語り合った。

荒木健太郎(以下、荒木):そもそも今回の作品はなぜ「天気」をテーマにしたのですか?

新海誠(以下、新海):映画の公開前までは、「天気は地球規模の巨大な循環現象なのに、個々人のメンタルやフィジカルに影響を与える面白いテーマだから」と説明していました。でも実をいうと、もう少しストレートな理由があったんです。

荒木:え? そうなんですか。

新海:はい。それはやっぱり、“天気と人間の関係”が変わってきたということです。これまでもぼくは作品の中で、梅雨や紅葉といった日本の美しい四季を意識的に描いてきました。しかし、『君の名は。』以降の数年間で、季節や天気が「情緒的で心地よいもの」から「何か備えなければいけないもの」に変わった気がしたんです。

──日本だけではなく、海外でも大ヒットした『君の名は。』から3年。新海監督の待望の新作アニメーション映画『天気の子』が公開を迎えた。

 本作のテーマはズバリ「天気」。新海さんはこれまでの作品でも美しく繊細に天気を表現してきた。たとえば『秒速5センチメートル』(2007年)では優しく降り積もる雪が、『言の葉の庭』(2013年)では多彩に降り続ける雨が、「新海ワールド」を色鮮やかに浮かび上がらせた。

 晴れ、雨、曇り、雷といった多彩な天気が登場する本作は、雲研究者の荒木さんが気象監修を担当した。天気のスペシャリストである荒木さんの参加で、本作の表現はさらに深みを増したという。

 そんな2人が映画公開を機に、本誌にそろって登場。世界的にも異常気象への警鐘が鳴らされる中、天気を愛する新海さんと荒木さんが存分に語り合った。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン