◆一日を過ごすだけでも高齢者には意外と大変
つい最近、用事があって、デイケアがない日を狙って母を訪ねた時のことだ。
玄関の呼び鈴を鳴らしてもなかなか出てこないので、散歩に出てしまったかとイラ立ちまぎれにまた押すと、なんと、寝ぼけまなこの母が出てきた。
おそらくベッドのクッションに突っ伏して居眠りをしていたのだろう。思い切り変な寝ぐせがついていた。
「ママ! 寝てたの?」
そういえば高齢者が、昼間することがなく、ウトウト寝てしまうという話はあちこちからよく聞いていた。でも母は違うと勝手に思い込んでいたので、本気で驚いた。
「寝てないわよ!」と、母が“まずいところを見られた!”という顔になったのにも驚いた。確かに大人の昼寝はなんとなく後ろめたい。その時はそれ以上問い詰めなかったが、後日、かかりつけ医に聞いた。
「高齢者って元気に見えても体力が落ちているから、疲れるの。ただ、何もしないでいると夜眠れなくなったりでリズムが崩れるから、昼間はやはり適度に動かないと。疲れすぎないように、休みすぎないように(笑い)」
しかし、「どうしてもやらねばならないこと」が特にない高齢者には、結構、難しいことだろう。気力と、それについていける体力が頼りだ。
「母も頑張ってるんだ」
母の変な寝ぐせと焦った顔が愛おしくなった。
※女性セブン2019年8月15日号