実は薬は「何時に」服用するのかが重要なのだという。薬の最も服用効果がある時間を研究する「時間治療」の研究が進められている。九州大学大学院薬学研究院の小柳悟教授が語る。
「病気や症状が悪化する時間に合わせて薬を服用するというのが『時間治療』の考え方です。薬によって、飲んでから効果が出るまでの時間は異なるため、それぞれの薬の飲む適切な時間を知ることが大切です」
例えば、持病が悪化しやすい時間帯が、古くから判明していたのが「気管支喘息」だという。
「1000症例以上を調べた研究で、喘息の発作は午前0時~6時に集中していました。発症頻度は、昼間に比べると400~500倍という報告もあります。夜間の発作時にきちんと薬が効くためには、夕食後から就寝2時間前までに飲むことが大切です。ただし、夕食後といっても、あまりに早く飲みすぎると、本当に効いてほしい真夜中までに薬が代謝され、効果が薄まってしまう場合もあるため注意が必要です」(同前)
胃腸が弱い人や、消化性潰瘍を患っている人は、「H2ブロッカー胃腸薬」(ファモチジンなど)の服用時間に注意したい。
「夜は副交感神経が優位になり、消化管の活動が活発になるため、胃酸の分泌が盛んになります。ファモチジンなどの胃腸薬は胃酸の分泌を抑える薬で、朝食後と夕食後の2回処方が多いのですが、とりわけ重要なのは、胃酸分泌が活発になる夕食後の服用です。夕食後と朝食後を比較すると、前者のほうが服薬の効果が大きいことが研究から分かっています」(同前)