いまから3か月半後、大嘗祭を終えた11月下旬に衆参の憲法審査会では、国民投票法改正案の審議に大きな変化が起きる。
野党共闘の一角が崩れ、国民民主党が「審議に応じる」姿勢に転じるのだ。立憲民主党、共産党、れいわ新選組は「徹底抗戦」を叫ぶが、安倍晋三首相はそのタイミングを見逃さない。
「野党が議論にも応じないというなら国民に信を問う」と、改憲議論を進めることを前面に押し立てて解散・総選挙に踏み切る―─。官邸内で練られている「11月解散」のシナリオだ。
すでに布石は打たれている。参院選直後、安倍首相が「国民民主党の中には憲法改正の議論はしていこうという人たちがいる。積極的に呼びかけていくべきだ」と秋波を送ると、国民民主党の玉木雄一郎・代表はネット番組でこう応じた。
「私は生まれ変わった。われわれとしても憲法改正議論を進めていくし、首相にもぶつける。最終的には党首と党首として話をしたい」
玉木氏は同番組で、安倍首相の関与が追及されたモリカケ問題(森友学園・加計学園問題)に国会審議の時間を費やしたことについて、「本当に反省しなければいけないと思います。国民にお詫びを申し上げたい」とまで言い切った。同党の中堅議員が語る。
「玉木代表の発言を立憲民主は“裏切りだ”と憤っているようだが、憲法議論を進めることと国民投票法の改正はわが党の参院選公約だ。代表の言っていることは正しい。党内でも憲法改正議論に反対なのはごく一部しかいない」