国内

突然ネットに「破産者情報」 今後も類似被害が続出の懸念

自分の個人情報がネットで見つかり驚かされる

自分の個人情報がネットで見つかり驚かされる

 2019年3月、インターネット上に突然、「破産者マップ」と称するウェブサイトが出現した。破産者情報とGoogleマップを紐付けて、地図を広げると、どこの誰が破産したのか分かるようになっていた。「破産者マップ」は世論の反発や、行政指導が入ったこともあり閉鎖へと至ったが、その後、類似の情報を提供するサイトがネット上でたびたび見かけられるようになった。ライターの森鷹久氏が、デリケートな金銭にまつわる情報を公開されることによって広がる困惑と、類推されるサイト開設の目的についてレポートする。

 * * *
「一体誰がこんなことを…。その日は恐怖で眠れませんでした。現在は消えているようですが、ご近所の誰かがあのサイトを見て、私を“貧困者”だと笑っているかもしれない」

 7月上旬、都内在住の主婦・Mさん(40代)は、夫から「ネットにお前の名前と以前の住所が載っている」と連絡を受けた。Mさんの個人情報が載せられていたのは「貧困者データベース」なるサイトで、記載されていた住所は独身時代に住んでいた、東京都下のアパート。勤務先として載せられていたのは、一時期アルバイトしていた都内某区のスナックで、その下には「融資希望額10万円」という記述もあった。

「現在は結婚し、住所も姓も変わっています。思い当たるのは、独身時代に消費者金融から10万円を借りたことです。それ以外にお金を借りたり貸したりしたことはありません。その時、勤務先はスナックでもなかったですし。そもそも特に生活には困っておらず、なぜこんなサイトに載せられているのか、全くわからないんです」(Mさん)

 思い出されるのは、少し前にネットで「破産者マップ」なるサイトが公開されたことだ。全国の破産者の情報数千件が、グーグルマップ上に落とし込まれ、実名・住所共に公開されていた。サイトを見た多くの人が通報し間も無く閉鎖されたが、現在も居住する実家住所をサイトに記載された男性は「外出できなくなった」と筆者の取材に明かしていた。

 そして、この二つの個人情報暴露サイトに共通するのは、サイト公開と同時に、記載の個人情報削除を希望するなら、ビットコインで送金しろ、という旨の通知を公開していたことだ。破産者マップについて取材した大手紙記者が説明する。

「破産者マップは、官報に掲載される破産者情報の転載と見られていました。サイトは間も無く閉鎖され、当局が捜査することもなかったのですが、まさに脅迫行為そのもの、悪質性は高いというのが捜査員の見解でした。今回の貧困者データベースも同様に脅迫行為を働いていたことに他なりませんが、奇妙なのは、勤務先や融資希望額が掲載されていたことです。これらは、官報には記載されません」(大手紙記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン