多くの外国人が日本を訪れる東京五輪の開催中にもしも「首都直下型地震」が起こったら、甚大な被害を招きかねない。
政府の中央防災会議によれば、M7.3クラスの都心南部直下地震が起こった場合、首都圏の死者数は最大で2万3000人にのぼると想定されている。
例えば、皇居や東京タワーなどの名所を巡るマラソンコースには、下町の木造住宅密集地域もあり、火災のリスクが高く、大きな危険が潜んでいるという。また、東京湾の最奥部にあるフェンシングやレスリング会場(幕張メッセ)や、セーリング会場の江の島ヨットハーバー(神奈川)は津波被害が広範囲に及ぶと予想されている。
「液状化」も、甚大な被害をもたらす。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が指摘する。
「ベイゾーンは海抜ゼロメートル地帯の埋立地にあるため、液状化が起こって道路が使えなくなります。そのため、選手村、プレスセンター、競技会場が集中する地域は、救急車や消防車が入れずに“陸の孤島”と化す可能性があります。
主要道路の瓦礫を除去して救援ルートを確保するまでには、内閣府の想定でも2日を要するとされていますが、被害が大きい場所では復旧までに2か月ほどかかる地域も出てくるでしょう」
晴海、有明、お台場などをつなぐ「橋」も、「橋詰め(橋の両端)に50cmの段差が生じると車両が渡れなくなる」(防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏)という。